細胞診にて組織型推定が困難であった乳腺腫瘍の1例

市立堺病院 病理・研究科(1)、外科(2)
米川 みな子(1)、佐々木 伸也(1)、川上 均(1)、内野 暢彦(1)、田中 純一(2)、
中山 貴寛(2)、和田 直樹(1)、山内 道子(1)

【症例】90歳代前半、女性

【既往歴】約半年前に脳出血

【家族歴】特記すべきことなし

【現病歴】狭心症、うっ血性心不全、低K血症にて通院治療中、他院で左乳房腫瘤を指摘され、当院受診。触診で左C領域に2.6×2.5cm大の硬い腫瘤を認めた。mammographyで左C領域に境界不明瞭、spiculaを伴う腫瘤影がみられ、カテゴリ5と判定された。超音波で左CD領域に2.7×1.9×1.5cm大、境界不明瞭な不整形、内部エコー不均一な腫瘤像を認めた。造影CTで左C領域に結節を認め、乳頭に向かう染まりが広がっていた。両側腋窩、縦隔、肺門リンパ節腫大なく、肺転移等の遠隔転移は認めなかった。穿刺吸引細胞診、core needle biopsy施行。年齢を考慮し、ホルモン療法を行う予定であったが、biopsyにてER(-), PgR(-)であったため、局所麻酔下に乳房温存手術を施行。

【細胞所見】術前の穿刺吸引細胞診では、N/C比は低いが、核の輪郭不整を伴い、核の偏在した比較的大型の細胞が散在性に出現している。核小体の目立つ細胞が多い。悪性と判定したが、組織型推定は困難であった。core needle biopsy時の捺印細胞診では、泡沫状の広い細胞質、偏在傾向のある核を有する比較的大型細胞が、集団あるいは散在性に出現している。大小不同があり、核小体の目立つ細胞も認め、悪性と判定した。

【病理組織所見】比較的豊かな好酸性細胞質、軽度多形性のみられる核、明瞭な核小体を有する腫瘍細胞が、散在性または索状配列をとって浸潤性に増殖している。腺腔形成は認めず、正常乳管を腫瘍細胞がとり囲む像も認める。乳管内及び小葉内に同様の細胞が増殖する像も認める。

写真1写真2写真3