教室で実施中の臨床研究

    

課 題名:慢性炎症およびその周囲の腫瘍を特徴づける因子に関する研究


研究代表者: 森井 英一 (病理診断科・教授)

  
1.研究の対象
 これまで当院で呼吸器外科領域の腫瘍についての病理診断を受けられた方を対象とします。
 
2.研究目的・方法
 慢性炎症が持続すれば腫瘍が惹起される場合があることが知られています。しかし、その過程については不明なことが多いのが現状です。本 研究では慢性炎症、およびその周囲における腫瘍を特徴づける因子を解析することで、慢性炎症から腫瘍化へ至る過程を調べます。慢性炎症は 常に腫瘍に至るものではなく、その多くは慢性炎症の軽減で組織が再生します。慢性炎症とその周囲の腫瘍組織を調べれば、その中には再生に 至る過程を見出すこともできます。慢性炎症から腫瘍を至る過程、および再生へ至る過程を調べることで、慢性炎症から腫瘍ではなく再生へと 至る道を明らかにし、慢性炎症が惹起する腫瘍を抑制することにつなげることを目的とします。
 具体的な方法としては、慢性炎症およびその周囲における腫瘍を特徴づける因子を解析するため、病理診断後の残余検体よりRNA- seq、プロテオミクス解析、メタボローム解析等により特徴のある因子をスクリーニングします。スクリーニングされた因子について、組織 における発現パターンや細胞における発現変化の結果生じた表現型を解析します。得られた因子のコンピューターによるデータサイエンスに基 づく解析については、大阪大学免疫学フロンティア研究センターおよび早稲田大学の研究者との共同研究体制のもとに行います。因子の発現パ ターンや表現型の解釈については大阪大学産業科学研究所、生命機能研究科、千葉工業大学の研究者との共同研究体制のもと行います。本研究 は2027年3月31日まで行う予定です。
 
3.研究に用いる試料・情報の種類
 手術で摘出して病理診断を行った後の残余検体を用います。病理検体から得られたパラフィンブロックなどを病理検体番号等の個人を特定し うる情報を削除して試料とします。診療で得たこの試料に関する既存情報を利用しますが、その際も個人を特定しうる情報は削除します。

4.外部への試料・情報の提供
 組織検体の一部について、共同研究施設である大阪大学免疫学フロンティア研究センターにこれらを供与する可能性があります。この場合、 検体から個人情報を削り、代わりに新しく符号又は番号をつけて匿名化を行った上で供与を行います。研究対象者とこの符号(番号)を結びつ ける対応表については大阪大学大学院医学系研究科病理診断科・病態病理学で作成し、個人情報管理者が外部に漏れないように厳重に保管しま す。データの記録されたメディアおよびデータ管理PCは大阪大学病理診断科・病態病理学研究室内の保管庫にて鍵をかけて厳重に保管しま す。
 研究で得られた情報については大阪大学免疫学フロンティア研究センター、産業科学研究所、生命機能研究科、早稲田大学、千葉工業大学の 研究者と共有し、情報共有のためのデータベースに登録されますが、個人情報は含まれません。
 また、情報の2次利用の可能性については、将来的に、本研究をより発展させるための研究に用いられる可能性があります。
 
5.研究組織
大阪大学医学系研究科 病理診断科・病態病理学 森井英一
大阪大学免疫学フロンティア研究センター 奥崎大介
大阪大学産業科学研究所 中谷和彦
大阪大学生命機能研究科 廣瀬哲郎
早稲田大学先進理工学部 電気・情報生命工学科 浜田道昭
千葉工業大学先進工学部 生命科学科 河合剛太
  
6.お問い合わせ先
 本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますの でお申出下さい。
 また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象とし ませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:
吹田市山田丘2-2  電話 06-6879-3711
担当者:大阪大学大学院医学系研究科 病理診断科・病態病理学 森井英一(研究責任者)

研究代表者:
大阪大学大学院医学系研究科 病理診断科・病態病理学  森井英一